相談事例の共有を通じた、支援課題の相互理解
R8 静岡県経営指導員研修会|SESSION REPORT
私の悩みは、県内の誰かが通った道。
顧客目線で導線を設計する経営戦略 | 講師:竹原興紀 | 2026.07.30
※ 各卓と全体共有の録音には同一テーマが重なるため、内容が重複する記録は統合し、主要な論点として整理しています。
当日の様子
講義の後に始まった各卓の対話と、全体共有の場面です。







WORK DESIGN
課題共鳴マップ 一人の気づきが、誰かの次の相談をひらく
このワークの目的は講義内容の確認ではなく、初対面の経営指導員が相談現場の迷いを持ち寄り、県内に「相談できる仲間」を増やすことでした。件数は、複数の録音で重なった内容を統合したうえで、各論点に紐づく主な記録を示しています。
他地域の実践に学ぶ、支援視点の拡張
研修後の交流と広域連携につながる、関係性の形成
顧客導線・ターゲット・媒体選択
講座項目:5. 導線設計
持ち帰る問い:信頼理由/既存顧客との再接続
“『SNSやチラシを出しても来ない』時、どこで興味が止まり、何が不安なのかを見る。”
経営者の孤独と学び合い
講座項目:7. マーケサロン
持ち帰る問い:地域の誰と組むと次の価値になるか
“制度の案内の前に、悩みを話し切れる相手と場をつくる。”
数字に出ない資産
講座項目:4. 資産の再定義
持ち帰る問い:売上以外で今も残っている資産は何か
“設備、人、後継候補、顧客との関係を、決算書の外にある資産として見る。”
地域の担い手・接点づくり
講座項目:8. 街づくり
持ち帰る問い:地域の誰と組むと次の価値になるか
“若い担い手と既存の事業者が、互いの仕事を知れる小さな接点をつくる。”
残す・任せる・手放す判断
講座項目:6. 手放す経営
持ち帰る問い:手放すべき仕事、残すべき仕事、任せられる仕事は何か
“売上だけではなく、生活、家族、時間、役割から続け方を見直す。”
数値は出席者数の集計ではなく、重複を統合した記録上の論点数です。レジュメの講座項目と「明日から使える5つの問い」に沿って整理しています。
LECTURE × SESSION
講座の8章と、持ち帰る5つの問い
収録に残る対話を、レジュメのCHAPTER 1〜8へ無理なく対応させました。
原点
街との関係づくり
主な記録には現れず拡大
売上だけでは見えない経営の重さ
主な記録には現れず困難
危機の中で残っているものを見る
主な記録には現れず資産の再定義
無形資産・関係資産を棚卸しする
主要論点と接続導線設計
顧客が迷い、選び、また関わる道筋
主要論点と接続手放す経営
残す・任せる・閉じるを選ぶ
主要論点と接続マーケサロン
孤立を減らし、学び合う
主要論点と接続街づくり
地域版カスタマージャーニー
主要論点と接続経営指導員へ|明日から使える5つの問い
- 売上以外で、今も残っている資産は何か。
- 売れなくなった商品ではなく、これまで信頼されていた理由は何か。
- 既存顧客と、もう一度つながる手段はあるか。
- 手放すべき仕事、残すべき仕事、誰かに任せられる仕事は何か。
- 地域の誰と組むと、次の価値になるか。
重複する収録内容を統合して整理
論点ボリューム
各卓と全体共有で重なる内容を統合し、主要な論点として整理しています。各項目右側の「議論を見る」を押すと、その論点の要点・元話題・見えてきたことが開きます。発言者ごとの評価ではありません。
講義を共通言語にし、各卓で担当事業者・地域の相談場面へ置き換えて対話しました。
顧客の行動/事業者の資産/支援の関係/地域の接点を横断し、次の一手を考えました。
| 論点 | 相対ボリューム | 比重 |
|---|---|---|
顧客目線と導線設計 | 100 | |
相談・コミュニティ | 93 | |
数字に出ない資産 | 84 | |
ターゲットと手段選定 | 80 | |
再来店・満足 | 72 | |
地域との関わり | 66 | |
事業の継続・承継 | 59 | |
学びの実装 | 48 |
単語ボリューム
セッション要約と提言書
今回の中心は、講義そのものではなく、その後の48名・9グループの対話でした。参加者は、それぞれが担当する相談者を思い浮かべながら、講義で扱ったカスタマージャーニー、無形資産、手放す経営、学び合いの場を自分の相談現場へ置き換えました。そこで重なったのは、マーケティングをSNSやチラシの量だけで考えるのではなく、事業者が持つ資産を見つけ、顧客が知り、比較し、安心し、予約・利用し、また関われるまでの一続きの導線として捉え直す必要性です。
1. 相談の入口を「顧客の動き」から始める
「インスタを頑張っているのに来ない」「チラシを撒いているのに来ない」という相談は、手段の不足だけを示すものではありません。顧客はどこでその店を知り、何を比較し、ホームページで何を確かめ、予約の直前にどんな不安を持つのか。相談の入口を制度・売上・Webの話に急がず、顧客の行動と気持ちを順にたどることで、発信の言葉、見せる順番、予約導線、利用後の連絡など、手を入れるべき場所が具体的になります。支援者自身が「本当にこの人にはInstagramなのか」「普段はどこで情報を確かめるのか」と問い直すことが、媒体選びを顧客理解へ戻す第一歩になります。
2. 新規集客の先に、二回目の利用を置く
F0・F1・F2の整理からは、最初に知ってもらうことだけでなく、利用後にもう一度選ばれるF2までを設計する視点が持ち帰られました。「いかに集めるか」より「いかに満足を上げるか」。最初の利用で満足しても、次に予約する理由がない、思い出してもらえない、紹介する言葉がない、連絡の接点がないという状態では、関係は続きません。商品・サービス、接客、利用直後のフォロー、LINEなどの連絡、紹介までを分けずに見ることで、再来店は販促の結果ではなく、顧客価値が届いたかを確かめる指標になります。創業相談でも「何を売るか」と同時に「誰と関係をつくるか」を考える必要があります。
3. 数字に出ない資産を、支援の言葉へ翻訳する
融資や経営改善の相談では、決算書と財務分析が重要な出発点になります。一方で、数字だけでは、地域に代替しにくい設備、長年積み上げた技術、店に集まる信頼、人との関係、地域で担っている役割までは見えません。対話では、タイヤチェンジャーやバランサーを持つ整備事業者の例が出されました。人材が定着せず赤字を抱える現実があっても、地域に必要な機能を持つ事実を見落とせません。支援者は「この地域で、ここにしかない仕事は何か」「お客さんはなぜ他ではなくここを選ぶのか」と聞き、その答えを資金・人材・販路・承継の方針へつなげる必要があります。
4. 続ける・残す・手放すを、生活を含む経営判断にする
「手放す経営」は、事業をやめることを勧める話ではありません。多店舗展開によって現場の穴を埋め続け、返済負担も抱えて経営が重くなった例と、小規模な事業者が家族構成・体力・時間・生活の条件から続け方を考える例が重なりました。大きく商売をする人と、少人数で事業を担う人では、同じ「拡大」「縮小」「承継」という言葉でも選択肢が違います。売上だけを前提にせず、残す商品・顧客・仕事は何か、任せられる役割は何か、早めに縮める・引き継ぐ判断が必要な部分はどこかを相談の中で言葉にできる関係が求められます。
5. 会議所を、答えを急がず接続する支援拠点にする
経営安定特別相談室のような場には、すでに悩みを抱えた状態で事業者が来ます。資金、売上、人材、承継という表に出た相談の前に、誰にも話せない迷いや、判断を一人で抱える孤独があることを前提にする必要があります。音声に残った「話を聞き切るスキル」「相談相手やコミュニティをつくる」という言葉は、制度案内を遅らせるためのものではなく、適切な制度・専門家・地域の人・学び合いの場へつなぐための順番です。会議所は答えを一つ渡す窓口だけでなく、相談の状況に応じて人と情報をつなぎ直せる接続点になれます。
6. 研修の対話を、次の相談と広域連携へ戻す
今回の3分共有は、講義の感想を集めるためではなく、参加者が担当する一社の相談場面へ講義の言葉を移し替えるために設計されました。創業者同士が悩みを持ち寄る場、美容業のように近い状況にいる人が話せる場、地域の既存事業者と若い担い手の接点など、一対一の面談だけではつくりにくい支援の形も見えてきました。今回の記録を次回の研修・事例共有・交流会へ持ち越し、「顧客はどこで迷うか」「数字に出ない資産は何か」「残す仕事は何か」という問いを共通言語として使うことで、年に一度の集合研修が日常の相談支援と市町を越えた連携へつながります。
セッションヒートマップ 一例
全体共有を中心とする音声アーカイブから、発話量・発話密度・笑い・肯定的相づち等の反応語を相対的に整理した一例です。録音に重なる内容は統合して扱い、個人やグループごとの評価には用いません。
話題の流れ
相対的な対話の動き
総合熱量の推移
全体共有(17分02秒)の18区間を、総合熱量・声量・発話密度・反応の相対値として重ねています。
山 1|08:00顧客目線の導線設計
山 2|12:00会議所の接続機能
山 3・4|14–15:00まとめと次回接続
注記:音声のみの分析です。表情は推定せず、笑い・肯定的相づち等を反応の補助指標として扱っています。
FilmPresso AIファシリテーションApp 機能紹介
ファシリテーションタイマー
各卓の対話・発表・振り返りを、同じリズムで進める。
参加者属性マップ
次回のグループ設計に必要な視点を整理する。
論点・単語ボリューム
会話の重みと、現場で使われた言葉を見える化する。
セッションヒートマップ(一例)
対話が動いた場面を、音声の相対的なシグナルから振り返る。